犬が口をなめる行動にはどのような意味があるのでしょう。「お互いの身体にとって危険なのでは?」と心配する飼い主さんもいるのではないでしょうか。この記事では、愛犬が口をなめてくることの意味として考えられることや注意点、やめさせるための方法を解説します。愛犬がいる方やこれから飼う予定がある方は、ぜひ参考にしてください。
犬は言葉が話せないため、さまざまな行動で気持ちや感情を伝えようとします。なめる行動もそのひとつです。飼い主さんの口をなめる行動にはどのような意味があるのでしょうか。以下で飼い主さんの口をなめる行動と、そのほかのなめる行動について解説します。
・飼い主さんの口をなめる意味
飼い主さんの口をなめる行動にはどのような意味があるのでしょうか。考えられる意味を以下で解説します。
信頼や愛情、服従のサイン
犬が口をなめる行動の意味として考えられるのは、信頼や愛情、服従のサインです。これは祖先であるオオカミに由来しているといわれています。なお、口ではなく顔をなめてくる場合も、ほぼ同様の意味があると考えられます。ほかにも、母犬への甘えのサインでもあることから飼い主さんに甘えている可能性もあります。単に挨拶の場合もあるといわれています。
空腹のサイン
飼い主さんの口をなめることによって空腹を訴えたり、食事を催促したりする場合もあります。これは上記のように祖先であるオオカミに由来する行動といわれています。子オオカミはお腹がすいたとき親オオカミの口をなめる習性があります。このことから、空腹のサインである可能性があると考えられるのです。
遊んでほしい(退屈)のときのサイン
口だけでなく、飼い主さんの顔や手、腕までなめてくる場合があります。これは、一緒に遊んで欲しいという意思表示の可能性があります。なめる場所が口に限らないところが特徴のため、思い切り遊んであげましょう。
何かをやめてほしいときのサイン
犬が飼い主さんからしつけを受けている最中に口をなめてくる場合は「やりたくない」「やめてほしい」という意思表示の可能性があります。また、見知らぬお客様に対してストレスを感じて「ひどいことはしないで」というサインを出している場合もあります。
不安やストレスを抱えているサイン
前の項で少し触れましたが、犬はストレスを感じている場合にも飼い主さんの口や顔をなめてくることがあります。帰宅時などに必死になめてくる場合は分離不安の可能性があります。身近なストレスから助けて欲しいというサインの可能性もあるため、特にしつこくなめる場合には心の病気になっていないか注意を払うようにしましょう。
飼い主さんの顔からおいしそうな食べもののにおいがしたからなめる、ということもある
飼い主さんの口をなめる行動には、さまざまな特別の意味があると解説してきましたが、単においしそうなニオイがしたからなめているだけのケースもあります。ニオイに反応してなめているだけであるため、気にする必要はないでしょう。
・【そのほかのなめる行動の意味】
飼い主さんの口をなめる以外にも、犬はなめることでさまざまな気持ちを伝えてきます。そのほかのなめる行動にはどのような意味があるのでしょうか。
犬自身の口や身体をなめる意味
犬自身の口や身体をなめる行動にはどのような意味があるのでしょうか。食後に口のまわりをなめている場合は、歯みがきや毛づくろい(グルーミング)でなめていたり、リラックスしてなめていたりするだけです。ただし、特にしつこくなめる場合にはケガしている場合があるため、注意が必要でしょう。
母犬が子犬をなめる意味
母犬が子犬をなめる意味は、子犬へのケアのための行動であると考えられます。反対に、子犬が親犬の口をなめる場合は、飼い主さんの口をなめる場合と同様、空腹だったり、甘えていたりという意味が考えられます。
ほかの犬をなめる(犬同士なめあう)意味
犬は床をなめることもよくありますが、この行動にはさまざまな理由があると考えられます。空腹や暇つぶし、飼い主さんとのコミュニケーション不足や運動不足などの表現などです。飼い主さんに注目してもらいたいという愛情表現の可能性もありますが、単に飼い主さんの食べこぼしの味やニオイに反応しているだけの可能性もあります。
犬が口をなめる行動にはどんな注意が必要なのでしょうか。以下で解説します。
・動物も人間も病気になってしまう可能性があるため注意が必要
犬が口をなめる行動は、犬にも飼い主さんにも病気になってしまうリスクがあります。口は病原菌が体内に入る可能性がある部位であるため、口同士が触れあう行動は病気がうつる可能性が高いでしょう。犬が口をなめて感染する可能性がある病気は「動物由来感染症」「人畜共通感染症(ズーノーシス)」と呼ばれる病気です。どのような病気か、具体的な病名や症状を以下で解説します。
どのような病気がある?
「動物由来感染症」「人畜共通感染症」はその名のとおり、人間も動物も共通してかかる感染症です。代表的な感染症としてはレプトスピラ症、パスツレラ症、カプノサイトファーガ・カニモルサス症が挙げられます。レプトスピラ症は人に感染した場合、発熱や頭痛が発生し、悪化すると肝障害や腎障害につながる「4類感染症」です。パスツレラ症は人に感染すると咳などの呼吸器症状や腫れ、かゆみなどが現れ、悪化すると肺炎や骨髄炎、敗血症になります。カプノサイトファーガ・カニモルサス症は、人に感染した場合、発熱や嘔吐、倦怠感、頭痛の原因になり、悪化すると髄膜炎になります。
・周囲の犬や人へも影響する可能性があるので注意が必要
さらなる問題として、感染した愛犬や飼い主さんを経由して、周囲にも病気が広がってしまうリスクが考えられます。なめることに慣れてしまった犬が、家に遊びにきた人の口をなめてしまうと、その人にも病気がうつってしまう可能性があります。また、普段犬に慣れていない方の場合には、犬が口をなめたことに関して、体調への考慮も必要になります。
感染症などのリスクを避けるために、犬が口をなめる行動をやめさせるためには、どうすればいいのでしょうか。
・「なめることをやめられたら褒められる」ことを教える
犬に口をなめる行動をやめさせたい場合は、なめるのをやめると褒められると学習させることが効果的でしょう。口をなめる行動を愛情表現だと受け入れて飼い主さんが喜ぶと、犬はなめることをいいことだと判断します。なめるのをやめたら褒めてあげることで、なめなかったら褒められると理解させることがおすすめです。ただし無理やりやめさせたり、怒ったりすると犬はストレスを感じてしまいます。優しく止めるようにしましょう。
なめようとしたら、落ち着いた声で「おすわり」や「ふせ」「待て」などの指示する
興奮して口をなめようとしてきたとき、いったん落ち着かせるための間をとる方法があります。そのため、なめようとしたら落ち着いた声で「おすわり」「ふせ」「待て」と指示することもおすすめです。「なめる=いいこと」と学習することがなくなるでしょう。
黙って立ち上がるなどし、愛犬から離れる
「うれしい」という反応や「やめさせよう」という素振りを見せず、完全にスルーする方法も有効です。犬がなめてこようとしたら、すぐ触ったりせずに黙って立ち上がり、犬から離れて興奮が落ち着くまで待つといいでしょう。
・不安やストレスの原因をとりのぞく
なめる行動のうち、不安やストレスが原因と考えられるものは、なめるのをやめさせるだけでは解決しません。原因を取り除く必要があります。コミュニケーション不足なら散歩に行ったり室内でもよく遊んであげたりしましょう。あまりにもしつこくなめる場合は、特に注意が必要です。心の病気や隠れている身体の病気の可能性もあるため病院に行くなどして対策しましょう。また、思い当たる原因がない場合も相談のために病院に行くことをおすすめします。
犬が口をなめる行動は、「愛情表現」であったり「ストレス」が関わっていたりすると考えられます。しかし「人畜共通感染症」になるリスクがあるため、なめる行動をやめさせるようにしつける必要があるでしょう。「なめるのをやめたら褒められる」と学習させたり不安やストレスをとりのぞいたりすることがおすすめです。
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