犬の生理期間の注意点とは?|生理の仕組みや症状、間違えやすい病気などを詳しく解説

犬は、発情周期によって人間の生理のような出血を定期的に繰り返します。生理期間中は、犬同士のかかわり方や衛生管理など、犬も飼い主も快適に過ごせるような工夫が必要です。この記事は、犬の生理について詳しく知りたい人に向けて、犬の生理の仕組みや症状、生理と間違えやすい犬の病気などについて解説します。正しく理解をして適切に対応しましょう。

犬の生理とは

犬の生理とは、発情の段階で起きる出血で、発情という意味で「ヒート」とも呼ばれます。犬の発情期には、「発情前期」「発情期」「発情後期」「無発情期」の4段階があり、発情前期~発情期に出血が起こります。犬にもよりますが、早ければ生後6ヶ月を過ぎた頃に初回の生理が始まり、1年に1~2回起こるのが一般的です。

犬の生理の仕組み

犬の4つの発情段階について解説します。ただし、周期や期間は犬によって個体差があるため、目安として参考にしてください。

発情前期

妊娠に向けて子宮や卵巣が準備を始める時期で、期間は7~10日ほどです。次のような症状や様子がみられます。

  • 陰部の腫れ
  • 出血
  • お尻を舐める、気にする
  • 落ち着きがない
  • 食欲がない

雄犬を受け入れる時期ではないものの、フェロモンが出ているため、外出を控えたり、オムツやパンツをはかせたりして、トラブルを防ぎましょう。

発情期

発情期は、排卵が起こって妊娠可能となる時期で、期間は10~14日ほどです。次のような症状や様子がみられます。

  • 陰部の腫れ
  • 出血
  • オス犬に近づいたり、誘ったりするような行動をする
  • 興奮気味になる

ただし、出血が止まる犬もいます。その場合、発情期を終えたと勘違いしてしまい、望まぬ妊娠につながる可能性もあるため、気を付けましょう。

発情後期

心も体も安定し、通常の状態へ戻っていく時期です。発情休止期ともいわれ、2ヶ月ほど続きます。次のような症状や様子がみられます。

  • 出血が止まる
  • 落ち着きが戻る
  • 乳腺が腫れる
  • 雄犬に興味を示さなくなる

妊娠していないにもかかわらず、妊娠している状態になる偽妊娠が起こりやすい時期でもあります。母乳の分泌が起こる犬もいます。

無発情期

性ホルモンの分泌が止まる時期で、4~8ヶ月ほど続きます。次のような症状や様子がみられます。

  • 陰部や乳腺の腫れ、出血がなくなる
  • 身体的にも精神的にも落ち着く

この時期を過ぎると、再び発情前期に入ります。

人間の生理との違い

人間の生理は、排卵後に厚くなった子宮内膜が、着床が起こらないことによって、剥がれ落ちて排出される現象です。犬の生理は、発情期に子宮内膜が充血して出血し、排卵は生理の後に起こります。このように、人間の生理は妊娠しなかった結果であるのに対し、犬の生理は妊娠の準備段階として起こるという違いがあります。

犬の生理が始まる時期

犬の初めての生理は、平均すると生後6ヶ月~10ヶ月頃に起こります。ただし、個体差があるため、1歳を過ぎてから生理が始まる犬もいます。また、一般的に小型犬よりも大型犬のほうが、生理の始まりは遅い傾向にあります。また、基本的に犬には閉経がないため、一度生理が起こると一生続きますが、高齢になるにつれて出血量や出血日数は減るといわれています。

出血する期間

犬の生理で出血が確認できるのは、主に発情前期です。出血期間は7~14日ほど続き、出血量が徐々に減って発情期に入ります。また、初回の生理は出血期間がやや長くなるといわれています。出血量は犬によって異なりますが、必ず出血します。飼い主が出血を確認できない場合は、犬が舐め取っている可能性が考えられます。

犬の生理にともなう症状

生理であるかどうかを判断するには、症状の把握が必要です。ただし、生理は病気でないため、心配し過ぎないようにしましょう。

陰部の腫れや出血

犬の生理は、陰部が大きく膨らんで出血します。通常よりも大きくなっている陰部をみて、「病気で腫れているのではないか」と心配する人もいます。しかし、発情にともなう症状であるため、それほど心配はいりません。また、頻繁にお尻を舐めるしぐさをする場合は、犬が自分で出血を舐め取っている可能性があります。

食欲や気力の減退

発情前期では、元気がなく食欲が減退する様子がみられます。巣ごもりのように自分の居場所をつくろうとしたり、散歩にも行きたがらなかったりするケースもあります。ご飯を一口も食べないといった極端な状態でなければ、そのまま見守りましょう。また、発情後期に偽妊娠が起きて食欲がなくなる犬もいます。

情緒不安定

生理期間中は、落ち着きがなくなって、あちこち動き回ったり興奮気味になったりするなど、情緒不安定になりがちです。神経質になったり、マーキング行動をしたりする犬もいます。犬がゆったりした気分で過ごせるように、気遣ってあげましょう。体調がよければ、気分転換のために、散歩に連れ出してもかまいません。

頻尿

尿の量や回数が増える様子もみられます。これは、陰部に違和感や不快感をおぼえている可能性があります。また、尿にはフェロモンが含まれているため、においづけのために、マーキング行動であちらこちらに排尿するケースもあります。いつもと異なる様子に戸惑うかもしれませんが、まずは様子を見守りましょう。

生理中の犬のケアや注意すべきポイント

生理中の犬は、ほかの犬とのトラブルを避けるための工夫が必要です。ここでは、生理中の犬との生活における注意点やケアについて解説します。

外出

犬の体調が安定していれば、散歩をしたり外出したりしてもよいでしょう。しかし、フェロモンを発していたり神経質になっていたりするため、ドッグランやドッグカフェなど、ほかの犬がいる場所へ行くのは、おすすめできません。また、トリミングも犬の負担になる可能性があるため、控えましょう。

オス犬への配慮

生理中は、発情期特有のフェロモン分泌により、オス犬を興奮させる場合があります。追いかけまわされたりケンカになったりするなど、トラブルになる可能性があるため気を付けましょう。ほかの犬が少ない時間に散歩をする、生理用のオムツやパンツをはかせる、ドッグランやドッグカフェには行かないといった配慮も必要です。

施設のルール

施設によっては、生理中の犬の施設利用に関してルールを設けているところもあります。利用の際には、各施設のルールを確認しましょう。基本的にドッグランは、生理中の犬の利用を禁止しています。また、ペットホテルや、ペットと一緒に利用できる宿泊施設の多くは、生理中の犬の利用を断っています。

衛生管理

生理中のお風呂やシャワーは、犬の体調を確認しながら、負担にならない範囲で行ってください。陰部は汚れやすいため、やさしく拭き取りましょう。また、パンツやオムツを履かせる、トイレシートやマットを敷くなど、室内の汚れを防ぐ工夫も必要です。フローリングに「愛犬の床」のようなコーティングをすることで、衛生管理も簡単になります。

オムツやパンツの使用

オムツやパンツには、犬の生理用のものもあります。室内の汚れやオス犬への刺激を防ぐために利用してもよいでしょう。ただし、履き慣れないオムツやパンツにストレスを感じ、かじって誤飲を引き起こしたり、かぶれや膀胱炎になったりする可能性もあります。利用については状況に応じて判断してください。

生理と間違えやすい犬の病気

生理の出血と思っていたら、実は病気によるものだったというケースもあります。ここでは、間違えやすい病気について解説します。

子宮蓄膿症

子宮に膿が溜まる病気です。開放性と閉塞性があり、開放性の場合は、陰部からの出血や分泌液が確認できます。次のような症状がある場合は、動物病院を受診しましょう。

  • 食欲不振
  • 嘔吐を繰り返す
  • 生理が終わって1ヶ月ほどで、また出血する
  • 多飲
  • 下痢
  • 腹部の腫れ

治療法としては、子宮や卵巣の摘出手術などがあります。

膀胱炎

膀胱に細菌が入ることで炎症が起こる病気です。次のような症状がある場合は、動物病院を受診しましょう。

  • 尿の色やにおいがいつもと違う
  • 頻尿
  • 血尿
  • 尿失禁
  • 尿が出にくい、まったく出ない
  • 残尿感がある様子が見られる

治療は抗生物質の投与などを行います。また、発熱をともなう場合は、腎盂腎炎の可能性もあります。

膣炎

先天的な生殖器の奇形や細菌などが原因で起こる病気です。子犬の場合は自然治癒することもありますが、早期に発見するためにも、次のような症状がある場合は、獣医師の診察を受けてください。

  • 陰部が赤く腫れ、舐めたり地面にこすりつけたりする
  • 膿のようなにおいのある分泌物が出る
  • 失禁

投薬や洗浄、手術などの治療が行われます。

犬の避妊手術について

メス犬が妊娠しないよう、子宮と卵巣の両方、もしくは卵巣だけを摘出する手術を避妊手術といいます。避妊手術にはメリット・デメリットがあるため、獣医師や家族とよく相談した上で判断してください。初回の生理を迎える前の生後6ヶ月ごろが適しているといわれているため、この時期までに決めるとよいでしょう。

避妊手術のメリット

避妊手術には、次のようなメリットがあります。

  • 望まない妊娠を防ぐ
  • 発情にともなう心理的、身体的ストレスが軽減する
  • 子宮蓄膿症、乳腺腫瘍、卵巣腫瘍などのリスクが下がる

発情にともなう生理症状がなくなると、犬だけではなく飼い主のストレスも軽減されるでしょう。

避妊手術のデメリット

避妊手術のデメリットには、次のようなものがあります。

  • 全身麻酔による死亡リスクがある
  • 代謝が悪くなるため肥満になりやすくなる
  • ホルモンバランスが崩れる

ホルモンバランスの乱れによって、尿失禁や骨肉腫、血管肉腫、甲状腺機能低下症など、さまざまな病気リスクが高まるといわれています。

まとめ

発情にともなって起こる発情出血が、犬の生理(ヒート)です。生理中は、出血や情緒不安定などの症状がみられるため、犬のストレスを軽減できる環境を整えてあげましょう。また、事前にフローリングを樹脂コーティングしておくことで、汚れ対策になるのはもちろん、滑りも防いで、人も犬も快適に過ごせるようになります。

多数の施工実績をもつ、フロアコーティングの老舗である「愛犬の床」に、一度相談してみてください。