犬が爪切りを嫌がるのはなぜ?|対処法と道具、注意点を解説

犬の爪も人間同様に伸びるため、爪切りが必要ですが、爪切りを嫌がる犬もいます。無理に爪切りをするべきなのかを迷う飼い主さんも多いでしょう。爪切りを嫌がる犬には、嫌がる理由を理解したうえで、対応することが重要です。この記事では、犬の爪切りの必要性などの基礎知識から、爪切りのコツまで解説します。

犬の爪切りはなぜ必要?

犬の爪切りは、必ずしなければならないお手入れです。犬の爪の構造を理解して、爪切りの必要性を理解しましょう。

犬の爪の形状

犬の爪は、神経と血管が中心を通っている構造です。神経と血管は、爪とともにカーブしながら伸びます。爪を切り過ぎると、神経と血管も切ってしまうため、慎重に行いましょう。

犬の爪には、犬種や毛の色などによって、黒い爪と白い爪があります。白い爪は明るい場所でみると神経と血管が判別できます。しかし、黒い爪は神経と血管がわかりにくいため、少しずつ角を取るように切っていきましょう。

爪切りをしないとどうなる?

犬の爪切りをしないと、さまざまな不都合が生じます。犬の爪切りをしないことが原因で起きる、4つの症状や不具合を解説します。

爪が食い込む

運動量の少ない犬や老犬は、爪が伸びるのが早いという特徴があります。伸びた犬の爪を放置していると、爪が肉球や皮膚に食い込んでしまいます。爪が食い込むと、歩くだけでも肉球や皮膚に痛みを生じます。さらに爪が伸びると、肉球や皮膚を傷つけて出血する可能性も高まります。また、食い込んだ爪で滑り、転びやすくもなります。

爪が割れたり折れたりする

猫の爪は研ぐことで古い爪がすぽっと抜けますが、犬の爪は抜けません。伸びた爪を放置していると、爪が折れたり割れたりする原因になります。とくに、長く伸びた爪が接地することで、根元から折れる場合もあります。折れた爪の範囲や長さによっては、出血や足指を骨折するおそれもあるでしょう。

爪が切れなくなる

犬の爪は、神経と血管がつながっており、爪と一緒に神経と血管も伸びていきます。神経と血管が通っている部分を切ると、出血してしまいます。神経と血管が伸びた部分の爪切りは、動物病院で麻酔を施したうえで行うことになります。神経と血管が伸びないように、定期的に爪切りをしましょう。

うまく歩けなくなる

犬の肉球には、接地する際のパッドとしての役割があります。爪が伸びると肉球が的確に接地しなくなり、足指でバランスをとって歩くのが難しくなります。肉球が接地しないと、体の使い方が悪くなって足腰を痛める原因になったり、滑ったり転んだりも多くなります。

犬が爪切りを嫌がるのはなぜ?

犬が爪切りを嫌がったとしても、必ず行わなければなりません。犬が爪切りを嫌がる理由を知ったうえで、対処しつつ爪切りをしてあげましょう。ここでは、犬が爪切りを嫌がる4つの理由を解説します。

触れられたくない

からだを触れられるのが苦手な犬の多くは、爪切りを嫌がります。とくに、足の先、しっぽ、耳、口の周り、鼻のまわり、お尻を触られるのを嫌がる犬が多いといわれています。爪切りの際には、その部分には触らないようにしましょう。

なでられたり抱っこされたりすることは好きでも、触れると嫌がる犬もいます。触れられることに慣れていない犬は、普段から少しずつスキンシップをとってください。

体勢が苦手

爪切りのときの体勢が不快だったり、引っ張られて痛みを感じたりした場合にも、爪切りを嫌がります。爪切りの際に抱え込まれるなど、不安定な格好を怖がる犬もいます。

飼い主のほうに犬を引っ張るようにして爪切りをするのではなく、犬にとって無理な姿勢にならない場所に、飼い主が移動するとスムーズに爪切りができます。

トラウマがある

爪切りをされた経験が、犬にとってトラウマになっていると、爪切りを嫌がるようになります。たとえば、爪を切り過ぎて血が出て痛かった、無理やり押さえつけられて怖かったなどの経験です。

爪切り以外でも、足を怪我したなどの経験があると、足に触れる爪切りを嫌がることがあります。自宅ではなくサロンを利用するなど、爪切りの環境を変えることが効果的です。

爪切りの音が怖い

犬の爪切りは大きな音がします。犬は音に対して敏感であるため、人間の耳に聞こえている以上に大きな音として響いているのでしょう。特に臆病な性格の犬は怖がる傾向にあります。爪切りの音を怖がる場合には、普段の生活のなかで時々、爪切りの音を聞かせて慣れさせることをおすすめします。

犬の爪切りはどのようにする?

犬の爪切りのポイントは、爪切り選びと爪切りの手順の把握です。ここでは、犬の爪切りの方法について解説します。

爪切りの道具

犬の爪切りには、ギロチンタイプ、ニッパータイプ、電動タイプがあります。それぞれのメリットやデメリットについて解説します。

ギロチンタイプ

犬の爪に差し込んで使用する爪切りが、ギロチンタイプです。切れ味が鋭いため、手早く爪切りを終わらせられます。また、狼爪や小型犬の巻き爪などの小さい爪を切るのにも向いています。

軽い力で切れるため、初心者では爪を切り過ぎてしまう可能性があります。ある程度、爪切りに慣れてから使いましょう。

ニッパータイプ

はさみと同じ形状で、犬の爪を挟んで切るのがニッパータイプです。扱いやすく、切り過ぎの心配もいため、爪切りの初心者におすすめです。ただし、硬い爪を切るときには力を入れなければならないため、大きな爪を切るのには向いていません。厚みのある爪を切った場合、切り口が不揃いになることもあります。

電動タイプ

電動タイプは、爪を切るのではなく、電動のやすりで爪を削って短くするのが特徴です。爪切りを強く嫌がる犬に使うほか、ギロチンタイプやニッパータイプで爪切りをしたあとの仕上げにも使えます。

削りながら短くするため、長い爪を切るには効率がよくありません。また、音が大きいものもあるため、犬が驚いたり、嫌がったりする場合もあります。

爪切りの手順

犬の爪切りの正しい手順を把握することで、爪切りがスムーズに行えます。ここでは、犬に不安を与えずにできる手順について解説します。

保定する

爪切りの際に犬が暴れないように保定をします。保定とは、犬が動かないように抱え込むことです。保定は、押さえつけるのではなく、できるだけ体を密着させることがポイントです。保定の姿勢の好みは犬によって異なるため、横向き、仰向け、うつ伏せなど、いろいろ試してみてください。

ひとりで保定するのが難しい場合は、ほかの人にも手伝ってもらいましょう。

カットする

爪と一緒に神経や血管を切らないように、角を取り除くように先端から少しずつ、手早くカットします。黒い爪の場合は、神経や血管がみえにくいため、気を付けましょう。毛の長い犬種の場合は、確実に爪を出してから切ってください。犬が嫌がった場合には、無理をせずに、たとえ途中でも終わらせます。

ヤスリをかける

カットした爪の断面が不揃いになっていると、犬や飼い主をひっかいて傷つけてしまったり、カーペットなどがひっかかったりします。やすりを使って表面を滑らかに仕上げましょう。

爪切りの頻度

爪切りの頻度は、犬種や生活状況、散歩の状況などよって異なります。犬の爪をみながら、最適な頻度で爪切りを行いましょう。爪切りが必要になる目安としては、地面や床に爪が当たって音がするようになったときです。理想的な爪切りの頻度は、2週間〜1ヶ月に1回といわれています。

犬の爪切りを上手に行うコツ

犬が爪切りを嫌がらなければ、爪切りを失敗する可能性も少なく、スムーズに爪切りができます。犬の爪切りを上手に行う3つのコツを解説します。

慣れさせる

爪切りに慣れていない犬は、爪切りを怖がったり嫌がったりします。爪切りそのものに慣れさせるため、爪切りを持ったままおやつを与えてください。慣れてきて爪切りを怖がらなくなったら、爪切りを犬の足先へ徐々に近づけて、やさしく触れてみましょう。体に触られるのが苦手な犬の場合、足先や爪に触れることに少しずつ慣れさせます。

おやつを与える

爪切りにおやつを活用するのもおすすめです。ほかに手伝ってくれる人がいるなら、おやつを与えて気をそらして、爪切りを済ませましょう。また、爪切りのご褒美として、おやつをあげる方法もあります。1本を終えるごとに、またはすべて切り終わった後のご褒美として、おやつをあげると効果があります。

たくさん褒める

犬が嫌がったり、怒ったりしている状態で爪切りを終えるのではなく、最後は褒めてあげましょう。足に触らせてくれただけでも、1本を切り終わっただけでも、大げさなくらい褒めます。褒める頻度を増やすことで、犬が嫌がることが少なくなり、徐々に爪切りの時間が長くとれるようになります。

犬の爪切りの注意点

犬の爪切りをスムーズに行うために注意すべきことを覚えましょう。ここでは、犬の爪切りについて、3つの注意点を解説します。

無理をしない

犬が爪切りを嫌がった場合には、押さえつけるなどの無理強いは厳禁です。強引に爪切りを進めると、犬はますます爪切りを嫌がるようになります。無理に爪切りをすることで、飼い主との信頼関係が壊れてしまう可能性があります。また、犬が嫌がって暴れると、爪を切り過ぎて怪我をさせる危険性もあります。

一度で済ませそうとしない

犬が爪切りを嫌がる様子をみせたら、無理はせずに爪切りをやめましょう。犬が爪切りを嫌がる前にやめることが重要です。一度ですべての爪切りを済ます必要はなく、終わらなかったら翌日に持ち越しても問題ありません。1日に1本ずつ切る、数日間かけて爪切りを終わらせるなど、焦らずに取り組みましょう。

出血に備える

爪を切り過ぎた、または、神経や血管が伸びている部分の爪を切った場合は出血してしまいます。出血したときに慌てないように備えておきましょう。出血したら、出血した爪をティッシュで押さえて圧迫し続けることで止血できます。また、市販の止血剤を準備しておけば、出血した場合に使用できます。

できない場合には無理をしない

失敗しそうで怖くて爪切りができない、犬がどうしても嫌がってしまうといった場合は、無理をするのはやめましょう。動物病院やトリミングサロンなど、プロに爪切りをまかせる方法もあります。

動物病院やトリミングサロンでは、爪切りだけの利用も少なくありません。爪切りだけでも利用してみましょう。

まとめ

犬の爪切りは、重要なお世話のひとつです。爪が伸びることでによる怪我や出血、神経も一緒に伸びてしまい、爪切りができなくなるなどの弊害を生じます。犬にあった頻度で爪切りをしましょう。爪切りをするときには、無理強いはしない、褒めてあげる、おやつを活用するなどのコツを実践すると、徐々に爪切りができるようになります。

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